青森県上北郡七戸町。
この地で240年以上にわたり酒造りを続けてきたのが、盛田庄兵衛です。
代表銘柄の「駒泉」「朔田」「七力」などは、青森の酒好きであれば一度は耳にしたことがあるはず。
盛田庄兵衛は、派手さよりも土地に根ざした誠実な酒造りを大切にしてきた酒蔵です。
七戸の歴史とともに歩んできた酒蔵

蔵の始まりは安永六年(1777年)。
初代・盛田平治兵衛が近江国から七戸に移り住み、呉服や雑貨の商いを経て酒造りを始めたことが、その起源とされています。
以来十一代にわたり、酒造りの灯は受け継がれてきました。
七戸は古くから「名馬の里」として知られ、その歴史は代表銘柄**「駒泉」**の名にも込められています。
土地の記憶や文化を、酒の名前と味わいに映し出している点も、この蔵の魅力のひとつです。
水・米・技──青森の恵みを活かす酒造り

盛田庄兵衛の酒造りを支えるのは、八甲田山系の雪解け水を源とする高瀬川の伏流水。
やわらかな軟水が、清らかで端正な味わいを生み出します。
酒米には「華想い」「華吹雪」「吟烏帽子」など、青森県産米を中心に厳選。
南部杜氏の伝統的な技法を大切にしながら、現代的な醸造技術も柔軟に取り入れています。
蔵が掲げる信条は「一にまごころ」。
流行を追うのではなく、その土地だからこそ生まれる酒を、真摯に醸し続けています。
味わいの特徴──食中酒から華やかな一本まで
盛田庄兵衛の酒は、全体として穏やかで米の旨味をしっかり感じられるバランスの良さが特徴です。
日々の食卓に寄り添う食中酒タイプから、華やかでフルーティな吟醸酒まで、幅広い表情を持っています。
たとえば、純米大吟醸「駒泉 真心 黒ラベル」は、低温発酵による上品な香りと、きめ細かな口当たりが印象的な一本。
また「七力」は、フルーティな香りと力強い旨味を併せ持ち、後味のキレの良さから料理との相性の高さでも評価されています。
国内外で評価される、確かな実力
全国新酒鑑評会での入賞をはじめ、盛田庄兵衛の酒は数多くのコンテストで高い評価を受けてきました。
近年では IWC(International Wine Challenge)純米大吟醸部門で銀賞 を受賞するなど、国際的な舞台でもその実力を証明しています。
伝統を守りながらも、時代に応じた挑戦を重ねる。
盛田庄兵衛は、青森の酒を世界へ届ける存在として、これからも注目される酒蔵です。